林 潔 白梅学園短期大学名誉教授
エンデ全集3 モモ
ミヒャエル エンデ 大島かおり訳 1996 岩波書店
時間泥棒に追われる女の子モモ。カメのカシオペイアと逃げます。モモは、学生相談にも利用されています。
「モモに話しを聞いてもらっていると、ばかなひとにもきゅうにまともな考えがうかんできます。モモがそういう考えをひきだすようなことを言ったり質問したりしたというわけではないのです。彼女はただじっとすわって,注意ぶかく聞いているだけです。」
第1部 モモとその友だち
第2部 灰色の男たち
第3部 <時間の花>
「そうかそうか。でもおまえはまだ子どもだ―いったいいくつだね?」
「百。」とモモはためらいがちにこたえました。
みんなはどっと笑いました。冗談だと思ったのです。
「まじめにきいているんだよ。年はいくつ」
「百二。」モモはもっとあやふやな調子になりました。
こんなやりとりをしばらくつづけてからやっと、みんなはモモが数をあらわすことばをほんのわずかしか知らないことにきづきました。そのことばも聞きかじりでおぼえただけで,はっきりした数はわかっていないのです。
なにしろ、だれにも数をならったことがないのですから。